2004年5月31日  朝日新聞
2004年5月31日朝日新聞

家庭ごみ 原則有料-環境省方針-

 一向に減らない家庭ごみ対策として、環境省は、自治体によるごみ処理について全面的に有料化を
目指す方針を固めた。すでに一部の自治体で実施しているが、ごみ処理の考え方を示す「基本方針」に
手数料徴収を原則とすることを盛り込み、市町村を誘導する。現状では国の減量化目標の達成が難しい
うえ、最終処分場が10年余後に逼迫することが背景にある。しかし、住民の負担増につながる面もあり
反発も予想される。

減量へ市町村誘導-負担増や不法投棄、懸念も-

 家庭ごみの収集や処分は市町村事業だが、廃棄物処理法に基づいて減量目標やその方法は同省が基本
方針を定めている。現行の基本方針で「市町村は必要に応じて手数料の徴収を行う」とされているのを
「原則的に徴収」などの記述に改める検討をしている。6月から中央環境審議会で議論を重ね賛同が
得られれば来年初めにも基本方針に盛り込む。強制力はないが、処理費用増大に悩む自治体が有料化に
踏み切るきっかけになるとみている。有料化の方式は、現在導入しているケースでは指定ごみ袋を有償
にする自治体が8割を占め、料金は30リットル袋で1枚20-40円が多い。「この程度の額では、ごみの
抑制効果は小さい」との意見もあり、料金の目安を示すことも考えている。同省が02年度に全市町村を
対象にしたアンケートによると、回答した約1300市町村のうち、家庭ごみの処理を有料化しているのは
4割を超える533。町村に多く、政令指定都市では北九州市が実施している。有料化した人ロ10万人以上
の23都市のごみ量は、導入前の1人1日当たり1110グラムから5年後は972グラムに減った。家庭、
事業所から出る一般廃棄物の排出量は、01年度約5500万トンでここ数年は横ばい。10年度に4900万
トンに減らすとの目標は困難な状況だ。しかし、新たな負担増に住民から反発が起きる可能性もある。
 自治体からは「減量効果は一時的」「負担を嫌った不法投棄が増加する」などの意見も出ている。